第26回 ポール・ロブソン、ダドリー・マーフィ、オスカー・ミショー、ウィル・ロジャースほか








「黒人歴史月間」の2月13日、ポール・ロブソンのDVDコレクション『ポール・ロブソン:アーティストの肖像』DVD−BOX(4枚組。レヴュー)が米クライテリオンから発売。

収録作は『ボディ・アンド・ソウル』(特殊上映題。1925。監督オスカー・ミショー)+『ボーダーライン』(特殊上映題。1930。監督ケネス・マクファーソン)、『巨人ジョーンズ』(1933。監督ダドリー・マーフィ)+『ポール・ロブソン:あるアーティストへの賛辞』(未。監督サウル・J・タレル)、『誇り高き谷』(未。英。1940。監督ペン・テニソン)+『故郷』(未。1942。監督ポール・ストランド、リオ・ハーウィッツ)、『コンゴウ部隊』(英。1935。監督ゾルタン・コルダ)+『ジェリコ』(未。英。1937。監督ソーントン・フリーランド)。スイスで作られた『ボーダーライン』のDVDはスイスのアートフィルムからも出ていた。英語音声。字幕は仏・独・西語。

20世紀アメリカを代表する偉大な黒人、スポーツマン、学者、バリトン歌手、俳優、社会活動家であったポール・ロブソン(1898−76)の出演した映画は残念ながら日本ではほとんど上映されていない。1993年にフィルムセンターで催された「知られざるアメリカ映画」では、オスカー・ミショー監督の『ボディ・アンド・ソウル』に加え、『ボーダーライン』が上映された。ユージーン・オニールの戯曲『皇帝ジョーンズ』(1920)の映画化『巨人ジョーンズ』の監督ダドリー・マーフィ(1897−1968)はフェルナン・レジェ監督の実験映画『バレエ・メカニック』(1924)の撮影者・共同監督でもある。

スーザン・デルソン著『ダドリー・マーフィ、ハリウッド・ワイルド・カード』
『巨人ジョーンズ』はハリウッド・パーティで視聴できる

ベッシー・スミス出演の『St. Louis Blues』(未。1929)とデューク・エリントン出演の『Black and Tan』(未。1929)はキノの『The Best of Jazz and Blues』(『Hollywood Rhythm vol.1』)収録。『バレエ・メカニック』は、『観られていない映画』DVD−BOX(7枚組)のディスク3『light rhythms』収録。またマーフィの初監督短編『The Soul of the Cypress』(未。1920)、『Danse Macabre』(未。1922)は同DVD−BOXのディスク7『Viva la dance』に収録。『The Soul of the Cypress』についてはデイヴィッド・E・ジェイムズ「Soul of the Cypress: The First Postmodernist Film?」『フィルム・クォータリー』2003年春号、25−31頁をも参照。

『バレエ・メカニック』にはモンパルナスのキキ(アリス・プラン)が登場する。撮影にはマン・レイも協力した。音楽はジョージ・アンタイル(1900−59)だが、技術的問題から結局映画の上映には用いられなかった。オリジナル版には7人の打楽器奏者、2人のピアニスト、7つの電気ベル、3つの航空機プロペラ、ひとつのサイレン、そして16台の同期したプレイヤー・ピアノが必要だったが、当時の技術ではプレイヤー・ピアノの正確な同期は不可能だった。アンタイルは1940年の夏にジャネット・ゲイナー家のパーティで美人女優としても有名だった発明家のヘディ・ラマーと出会い、1942年に、魚雷を制御する安全な無線リンク、周波数ホッピング方式の通信技術を考案し米国特許を取得、これが現在の携帯電話に応用されていることでも知られる。

アンタイルの息子クリス・ボーモントによる記事
ヘディ・ラマーの発明について
井口寿乃「バレエ・メカニック—レジェの映像製作とその表現」『映像学』49(1993)、86-100ページをも参照。

  アンタイルは帰国後、チャールズ・マッカーサー、ベン・ヘクト監督の『生きているモレア』(1924。監督)、『ピエロの夢物語』(放映題。1935)、『平原児』(1936。監督セシル・B・デミル)、『明日は来らず』(1937。監督リオ・マッケリー)、『海賊』(1938。監督セシル・B・デミル)のほか、ハンフリー・ボガート主演の『東京ジョー』(1949。監督スチュアート・ヘイスラー)、『暗黒への転落』(1949。監督ニコラス・レイ)、『孤独な場所で』(1950。監督ニコラス・レイ)、『モロッコ慕情』(1951。監督カーティス・バーンハート)、ジョン・ヒューストン監督の異色作『ストレンジャー6』(DVD題。1949)、「第8回」で紹介したフリッツ・ラング監督の『河の近くの家』(未。1950)、「第23回」で紹介した『痴呆』(未。1953。監督ジョン・パーカー)などの音楽を手がけている。

ロン・フランク監督、ポール・D・レーマン監修の記録映画『悪ガキがなしとげた Bad boy made good : the revival of George Antheil's 1924 Ballet Mecanique』(2003)のDVD(2枚組)がEMFから2006年9月に発売された。同DVDのディスク2には、アンタイルの生前には演奏できなかった楽曲『バレエ・メカニック』のマサチューセッツ大学ロウエル・パーカッション・アンサンブルによる1999年11月18日のオリジナル・オーケストレーション版プレミア・コンサートの収録映像と、16台のプレイヤー・ピアノ版を編曲した音楽付き映画版『バレエ・メカニック』を収録。この難曲の実演を可能にしたのはプレイヤー・ピアノの厳密な同期を可能にするMIDIシーケンサーとヤマハのディスクラヴィアだった。1999年の初演以後、さまざまな団体による演奏や上映付き演奏が行われている。今日の反叙述的ヴィデオ映像の系譜に属する奇抜な映像が因果関係なしにリズミカルに展開する反映画的な挑発的姿勢の映像構成が古びて見えるのに対し、今日の機械的実験音楽の先駆と言うべきオリジナル版の音楽はまったく古さを感じさせない。

メカニカル・ミュージック・ダイジェスト(MMD)のアーカイヴ記事

『Bad boy made good』の公式サイト 1 / 2

「第18回」で紹介した『エッセンシャル・アートハウス:ジェイナス・フィルムズの50年』にも収録されている『ポール・ロブソン:あるアーティストへの賛辞』はアカデミー賞を受賞した記録映画。ナレーターはシドニー・ポワチエ。DVD特典映像の『私たちのポール:ポール・ロブソン回想』には映画作家ウィリアム・グリーヴスや女優ルビー・ディー、男優ジェイムズ・アール・ジョーンズのインタヴュー収録。『ロブソンによるロブソン』はポール・ロブソン・ジュニアの新インタヴュー収録。  さらにポール・ロブソンの伝記映画『ポール・ロブソン:私をあるがままに語ってくれ』(未。1998。58分)のDVDはKulture Videoから2月27日に発売される。ナレーターはパム・グリア。ロブソンの記録映画『ポール・ロブソン:ここに私は立つ』(未。1999。117分)のVHSはWinstar Home Entertainmentから1999年に出ている。監督はセイント・クレア・ボーン、ナレーターはオシー・デイヴィス。題名はロブソンの自伝(1958年刊)に基づく。『ここに私は立つ』の邦訳は1997年に、新日本出版社より刊行。

キノ・オン・ヴィデオから出ている『自由の歌』(英。1936。監督J・エルダー・ウィルズ)+『ビッグ・フェラ』(英。1937。監督J・エルダー・ウィルズ)のDVDも必見。これらの映画でロブソンは歌を披露する。監督のJ・エルダー・ウィルズは、「第13回」で紹介した『原子人間』(1955)の美術監督。

H・ライダー・ハガード原作の冒険活劇『キング・ソロモン』(1937。監督ロバート・スティーヴンソン)は、あるいは日本で最もよく知られるロブソン出演作かもしれない。各種パブリック・ドメイン・メーカーから廉価DVDが出ている。このほか、ジェイムズ・ホエイル監督版の『ショウ・ボート』(1936)でもロブソンの歌唱を聴くことができる。

『スター・ウォーズ』(1977)のダース・ヴェイダーの声で知られるジェイムズ・アール・ジョーンズはTV伝記映画『ポール・ロブソン』(未。1979。監督ロイド・リチャーズ)でロブソンを一人芝居で演じている。この作品のDVDはKulturから出ている。

「黒人映画のパイオニア」オスカー・ミショー(1884−1951)作品も日本では観る機会が少ない。  ミショーに関しては、今世紀に入って次々と研究書が出ている。ベティ・キャロル・ヴァン・エプス=テイラー著『オスカー・ミショー…ダコタ入植者、作家、先駆的映画作家:伝記』(ダコタ・ウエスト・ブックス、1999)、J・ロナルド・グリーン著『ストレート・リック:オスカー・ミショーの映画』(インディアナ大学出版、2000)、パール・バウザー、ルイーズ・スペンス著『彼自身を歴史に書き込むこと:オスカー・ミショー、彼の無声映画、彼の観客』(ニュー・ブルンズウィック、2000)、アール・ジェイムズ・ジュニア著『オスカー・ミショーの生涯と仕事:先駆的黒人作家、映画作家』(KMT出版、2001)、パール・バウザー、ジェイン・グレインズ、チャールズ・マッサー著『オスカー・ミショーと彼のサークル:アフリカ系アメリカ人の映画製作と無声期の人種映画』(インディアナ大学出版、2001)。

『ストレート・リック:オスカー・ミショーの映画』
『オスカー・ミショーと彼のサークル:アフリカ系アメリカ人の映画製作と無声期の人種映画』
『オスカー・ミショーの生涯と仕事:先駆的黒人作家、映画作家』

昨年の「黒人歴史月間」には、米20世紀フォックス社が黒人ミュージカル映画『ストーミー・ウェザー』(1943)のDVDを発売した(レヴュー / )。南カリフォーニア大学の批評研究部門の映画・TV学校の教授トッド・ボイド博士の音声解説付き。この映画は日本では1988年にユーロスペースで初公開された。出演者の一人キャブ・キャロウェイ(1907−94)は、後述の『キャビン・イン・ザ・スカイ』(DVD題。1943)にも出ているが、今年生誕100年を迎える。前述のDVD『The Best of Jazz and Blues』(『Hollywood Rhythm vol.1』)』にも彼と彼のコットン・クラブ・オーケストラ出演『Hi-De-Ho』(1933。監督ロイ・マック)、『Jitterbug Party』(1934。監督フレッド・ウォラー)が収録されている。デイヴ・フライシャーの短編アニメ『ベティの家出』(1932。archive.org / youtube.com)ではキャブ・キャロウェイと彼のコットン・クラブ・オーケストラベティ・ブープと共演する。ベティの最高傑作ともいわれる同作は米プラティナム・ディスクのDVD『ベティ・ブープ:23本の古典カートゥーン』(2枚組)などで観ることができる。国内盤ではテクニカルスタッフの『Betty Boop Vol.2』に収録。

戦時中のハリウッド黒人ミュージカルについては、『従軍のポリティクス』(青弓社)第6章、笹川慶子「痛みなき動員へのいざない—ー戦争とミュージカル映画」を参照。

ニコラス兄弟の弟のハロルド・ニコラスは2000年没、兄のフェイヤード・ニコラスは2006年1月24日に亡くなった。ニコラス兄弟は『遥かなるアルゼンチン』(未。1940)に特別出演している。ベティ・グレイブル主演のミュージカル『遥かなるアルゼンチン』では『天国は待ってくれる』(1943)のドン・アメチーが歌い、カルメン・ミランダが踊る。ミランダにとってハリウッド・デビュー作だったが、ラティーノを滑稽に描いているためブラジルでは酷評され、アルゼンチンでは上映禁止された。圧巻はA・エドワード・サザーランド監督の『突貫勘太』(1931)や『キートンの恋愛指南番』(1931)などでおなじみの183センチの長身で長い脚で有名なシャーロット・グリーンウッドとニコラス兄弟である。撮影は『ストーミー・ウェザー』のリオン・シャムロイと『風と共に去りぬ』(1939)のレイ・レナハン。『遥かなるアルゼンチン』はフォックスのスタジオ・クラシック・シリーズで2006年8月18日に発売。

『ストーミー・ウェザー』には、「タップの王様」ビル“ボージャングルズ”ロビンソン(1878−1949)も出演している。

ビル“ボージャングル”ロビンソンについて
ビル・レイク、ジョーゼフ・サージェント監督、グレゴリー・ハインズ(2003年8月9日没)製作・主演のTV映画『キング・オブ・タップ/ボージャングルズ』(放映題。2001)のレヴュー(日本語)
同作は米Showtime Ent.からDVDが出ている。
ロビンソンとシャーリー・テンプルのタップダンス

アーモンド・ホワイトは数少ないアフリカ系アメリカ人映画批評家の一人である。現在、「ニューヨーク・プレス」に寄稿している。アーモンド・ホワイトによる黒人映画ベスト4は、『ハレルヤ』(1929)、『緑の牧場』(1936)、『キャビン・イン・ザ・スカイ』(DVD題。1943)、『パーリー・ヴィクトリアス』(未。1963)である。

2002年のアーモンド・ホワイト・インタヴュー

このうちキング・ヴィドア監督の『ハレルヤ』とヴィンセント・ミネリ監督のデビュー作『キャビン・イン・ザ・スカイ』はそれぞれワーナー・ホーム・ビデオから2006年6月2日に国内盤DVDが発売された。前者の特典はロイ・マック監督、有名な黒人作曲家ユービー・ブレイク、ニナ・メイ・マッキニー、ニコラス兄弟出演の『Pie. Pie Blackbird』(1932。10分)と、同じくロイ・マック監督、マッキニー、ニコラス兄弟出演の『The Black Network』(1936。21分)。後者の特典はリナ・ホーンら出演の『Studio Visit』(1946。9分)。原作者のマーク・コネリーがウィリアム・キーリーと共同監督した『緑の牧場』は米ワーナー社から2006年1月10日にDVDが出た(レヴュー)。撮影は『真夏の夜の夢』(1936)のハル・モーア。

有名なブロードウェイ劇に基づき、原作者でも或るオシー・デイヴィス(2005年2月4日没)が黒人牧師を演じた、ニコラス・ウェブスター監督の『パーリー・ヴィクトリアス』は、米MPIホーム・ヴィデオから2006年1月31日にDVDが出ている。共演はオシーの妻ルビー・ディー。撮影はボリス・カウフマン。ちなみにオシーはキング牧師とマルコムXの両方の葬儀で演説している。オットー・プレミンジャーの大作『枢機卿』(1963)での牧師役も忘れがたい。

アーモンド・ホワイトによるメル・ワトキンス著『ステピン・フェチット:リンカン・ペリーの生涯と時代』(Pantheon, 2005)書評

ステピン・フェチットことリンカン・ペリー(1902−85)は、一度見たら忘れられないアフリカ系アメリカ人のコメディアン。ジョン・フォード監督の『最敬礼』(1929)、『世界は進む』(1934)、『プリースト判事』(1934)や『周遊する蒸気船』(1935)、再びプリースト判事を扱った『太陽は光り輝く』(1953。判事に扮すのはチャールズ・ウィニンガー)、アンソニー・マン監督の『怒りの河』(1952)などでおなじみ。ダイソーの315円DVDで出ていた『マリーギャラント』(DVD題。1934。監督ヘンリー・キング)にも出ていた。「クーンCoon」(オツムの弱い黒んぼ)のステレオタイプを広めた張本人とされ、百万長者になった初の黒人俳優でもある。2005年にはシャンプ・クラークによるもう1冊のステピン・フェチットの伝記『不名誉な白人へのへつらい:ステピン・フェチットの悲劇』(iUniverse)も刊行された。

「クーン」戯画について

『ウィル・ロジャース・コレクション第1巻』(4枚組)は米20世紀フォックス社から2006年7月25日に発売された(レヴュー slantmagazine.com / dvdbeaver.com)。収録作は、『人生は四十から始まる』(未。1935。監督ジョージ・マーシャル)、『周遊する蒸気船』(1935。監督ジョン・フォード)、『疑い深いトマス』(未。1935。監督デイヴィッド・バトラー)、『懐かしのケンタッキイ』(1935。監督ジョージ・マーシャル)。ウィル・ロジャース(1879−1935)、最晩年の4作品である。ロジャース最後の映画出演作『懐かしのケンタッキー』にはビル・ロビンソンも出演。『疑い深いトマス』のディスクに収録のジーン・ベグリー、ジャック・ウォルワース製作・監督のTV映画『最愛のコメディアン ウィル・ロジャース』(2002。90分)はWOWOWで放映された。

『周遊する蒸気船』はIVCから国内盤DVDが出ているが、劇場公開時の打ち込み字幕の劣悪なプリントを用いて、さらに字幕を焼き込んだ劣悪なDVDで、お勧めできない。英オプティマムからもDVDが出ているが、修復前の旧マスターを用いている上、PALスピードアップのため収録時間は77分。ちなみに米フォックス盤は81分。この上は、ジョン・フォード監督のウィル・ロジャース3部作の残りの2本、『ドクター・ブル』(特殊上映題。1933)と『プリースト判事』(1934)のDVD化が待たれる。ステピン・フェチットも出ている後者は、100円ショップのダイソーから315円DVDが出ているが、画質・字幕共に難あり。

レイ・ロビンソン著『アメリカン・オリジナル:ウィル・ロジャースの生涯』

2006年12月12日には、米20世紀フォックス社から『ウィル・ロジャース・コレクション第2巻』DVD−BOXが発売された(レヴュー)。収録作はいずれも日本未公開。『ビル大使』(未。1931。監督サム・テイラー)、『忙しすぎて働けない』(未。1932。監督ジョン・G・ブライストン)、『スキッチ氏』(未。1933。監督ジェイムズ・クルーズ)、『デイヴィッド・ハラム』(未。1934。監督ジェイムズ・クルーズ)。

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ウィル・ロジャース記念館

イメージ・エンターテインメントから出ている『スラプスティック百科』DVD−BOX(5枚組)には、ウィル・ロジャースが本人として出演している短編『Big Moments from Little Pictures』(1923。監督ロイ・クレメンツ)が収録されている。この短編はハリウッド・パーティで観ることができる。

『スラプスティック百科』に関する日本語記事
ウィル・ロジャースとチャーリー・チェイスのツー・ショット写真

・「第25回」の追加情報

ストローブ=ユイレの『階級関係』(公開題『アメリカ』)のDVD(2枚組)がドイツのエディツィオーン・フィルムムゼウムからこの春に発売予定。原版は監督自身の監修したものだということなので、紀伊國屋盤と同一と思われる。嬉しいことに、同作の撮影風景を収めたハルーン・ファロッキのメイキング『Jean-Marie Straub und Daniele Huillet bei der Arbeit an einem Film nach Franz Kafkas Romanfragment "Amerika"』(未。1983。16ミリ。26分)が特典に付く。ファロッキ自身、『階級関係』にドラマルシュ役で出演している。こちらの28頁も参照(PDF)。

エディツィオーン・フィルムムゼウムはドイツ語使用国の映画アーカイヴや教育機関のDVD化レーベル。「第0回」で紹介したジョナサン・ローゼンバウムによる2005年ベストDVDの第6位にも選ばれたウィーン映画博物館所蔵のジガ・ヴェルトフ監督作『熱狂(ドンバス交響曲)』(1930)や、2006年に発売されたエリック・フォン・ストロハイム監督作『アルプス颪』(1919−21。99分)の染色プリントに基づくドイツ語中間字幕版(現存する最長の最古版)のDVDを発表している。『アルプス颪』の米キノ版はニューヨーク近代美術館所蔵の英語中間字幕35ミリ・ポジ・プリントに基づく93分版。

ちなみにハルーン・ファロッキ監督作のDVDは米ファセッツから『あるイメージ』(未。1983。25分)、『教化』(未。1987。44分)、ルーマニアのチャウセスク政権崩壊を捉えた、アンドレイ・ウジカと共同監督の『ルーマニア革命ビデオグラム』(映画祭題。1992。107分)が出ている。ドイツ語音声、英語字幕付き。『ルーマニア革命ビデオグラム』は1995年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された。

『主席語録 Die Worte Des Vorsitzenden』(未。1969。3分。監督ハルーン・ファロッキ)の抜粋。撮影は後の極左バーダー=マインホフ集団(ドイツ赤軍、第一世代)のテロリストで、獄中でのハンガー・ストライキにより死亡した後、ストローブ=ユイレの『モーゼとアロン』(1975)を捧げられたホルガー・マインス(1941−74)。

ホルガー・マインスに関する記録映画『スターバック−ホルガー・マインス』(未。2003。90分。監督ゲルト・コンラート)がある。ハルーン・ファロッキのほか、ジョージ・クルーニー、ミヒャエル・バルハウス、ペーター・リリエンタール、ヴォルフガング・ペーターゼンらが出演。DVDはドイツのノイエ・ヴィジオネンから出ている。英語字幕付き。特典にマインス監督の短編『オスカー・ランゲンフェルト』(未。1966。13分)と『The Fight Goes On!』(監督ハニン・エリアス、フィリップ・ヴァイルス。2001。3分50秒)ほか収録。コンラートは同名書籍(エスプレッソ、2001年)の著者。スターバックは『モビー・ディック(白鯨)』の登場人物の一等航海士の名前に由来する、マインスの暗号名。

ゲルト・コンラートは、1941年、チューリンギア州生まれで、1968年にベルリンの映画・TVアカデミーで学び、マインスやファロッキと知り合った。ディジタル映画作家フィリップ・ヴァイルス(1971年、西ベルリン生まれ)は『スターバック』の撮影技師の一人で、DVD特典『The Fight Goes On!』を監督。共同監督のハニン・エリアスは、1972年、西独ヴィットリッヒ生まれ。1993年、ベルリンでアレックス・エンパイアとデジタル・ハードコア・バンド、アタリ・ティーネイジ・ライオット(ATR)結成。2001年以後、ソロ活動をするが、2006年、ブログで音楽活動の無期限休業と、タヒチ(仏領ポリネシア)への移住を宣言。

ハニン・エリアスのブログ

・「第15回」の追加情報

フランスのオープニングから2月6日に『パリところどころ』(1965)DVD発売。特典はジャン・ドゥーシェ・インタヴュー。同作のDVDはこれまで紀伊國屋盤のみだった。

またエディシオン・モンパルナスから2月21日にジャン・ルーシュ監督の『コケコッコーにわとりさん』(映画祭題。1974)のDVDが発売。英語字幕付き。

同作は、『ジャガー』(特殊上映題。1957−67)と『少しずつ』(特殊上映題。1968−69)の主役でもあるダムレ・ジカ、ラム・イブラヒマ・ディアと共にルーシュが作った寓話風映画。1978年、東京日仏学院、アテネ・フランセで催された「フランス新作映画祭」で上映された。山田宏一『シネ・ブラボー』(ケイブンシャ文庫、1984、絶版)で紹介されている。「映画をやっている人間たちの歓びがこれほど素直に画面にみなぎっている映画もめずらしい。ジャン・ルノワールの映画(とくに『素晴しき放浪者』や『ピクニック』)のように、画面全体が、映画そのものが、笑いころげているような映画だ」。